石 湯

【真田幸村隠しの湯】

大河小説「真田太平記」には、別所の湯がしばしば登場する。
物語の仲で重要な位置を占める向井佐平次が真田幸村と初めて逢うのも、その幸村が女忍者お江(こう)と結ばれるのも別所の岩の間から湧きだす温泉の白い湯気の中だった。
そして、関ヶ原の合戦には真田の忍者草の者達が、別所の里に身を潜めて上田城に篭城する昌幸親子をじっと見守るのである。
別所の湯、それは真田氏にとって大切な隠し湯だった。
今も豊かに岩の間から湧きだす温泉、石湯。 その前に建つ「真田幸村公隠しの湯」の票石は真田太平記の作者、池波正太郎氏の筆である。